ねじ配管で漏れを防ぐために施工時に確認すること

雄誠設備工業のねじ配管・金属管解説用アイキャッチ:ねじ配管で漏れを防ぐために施工時に確認す…

ねじ配管の漏れを防ぐには、強く締めることだけに頼らず、管端、ねじ形状、清掃、シール材、ねじ込み、支持、試験を順番に確認します。どれか一つが不十分でも、施工直後は止まっていた接合部が運転後に漏れることがあります。

特に重要なのは、使用流体と管種に合う接合材を選び、ねじ山に残った切削油、水分、切りくず、ほこりを除いてから接合することです。この記事では、加工前から試験後までの現場チェックを整理します。

🔩

漏れ防止は「締める前」に決まる。

正しいねじ加工、清浄な接合面、用途に合うシール材をそろえてから、無理のない姿勢でねじ込みます。

ねじ接合の漏れは一つの原因で起きない

ねじ接合部は、おねじとめねじのかみ合い、シール材、締付け状態が組み合わさって止水します。ねじが浅い、山がつぶれている、異物が残る、シール材が用途に合わない、配管が斜めに引かれるといった条件が重なると漏れやすくなります。

漏れが出た接合部を増し締めするだけでは、原因を隠すことがあります。まず圧力を安全に抜き、接合部を分解できる状態にして、ねじと継手の両方を確認します。現場の安全手順と担当者の指示を優先してください。

1.管・継手・シール材の組合せを確認する

施工前に、流体、温度、圧力、管材、継手、ねじ加工方法を確認します。給水、給湯、冷温水、消火、油、蒸気などで、使えるシール材は同じとは限りません。製品名や容器の色ではなく、メーカーが示す用途と適合管種を見ます。

国土交通省の令和7年版・公共建築工事標準仕様書は、ねじ接合材について、テープシール材、一般用ペーストシール剤、給水・給湯・冷温水用の防食用ペーストシール剤を用途別に示しています。飲料水配管では衛生上無害で水質へ悪影響を与えないものとし、一般用ペーストは管内流体へ溶出せず使用目的に適する成分とする内容です。国土交通省の機械設備工事標準仕様書を工事固有の特記と合わせて確認してください。

2.切断面を直角にし、管端を整える

斜めに切れた管端や大きなばりは、ねじ加工の基準が不安定になる原因です。切断後に端面、外面、内面を確認し、加工機へ真っすぐ固定します。

ライニング鋼管など管種ごとの端部処理が必要な場合は、採用する管と継手の施工要領へ従います。管端防食継手を使う系統では、対応する加工寸法や工具を確認し、一般鋼管と同じ処理にしません。

3.ねじ山の状態を確認する

ねじ切り後は、山の欠け、つぶれ、偏り、むしれ、異常な浅さや深さがないかを見ます。チェーザの摩耗、加工機の芯ずれ、切削油の状態、管の固定不足が加工へ影響します。

一つの継手へ試しねじ込みを行い、極端に浅い位置で止まる、手で奥まで入り過ぎる、がたつくなどの異常がないか確認します。製品ごとの確認方法とねじ込み範囲は、使用する加工機・継手の資料を優先します。

4.切削油・水分・異物を除去する

国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、ねじ山、管内部、端面に付着した切削油、水分、ほこり等を十分に除去した後、おねじ部だけへ適量のペーストシール剤を塗ってねじ込むことが示されています。

表面だけを布で拭いても、ねじ谷や管内に切りくずが残ることがあります。明るい場所でおねじ全周を見て、管内側からも確認します。清掃に使う材料がシール材の密着や流体へ悪影響を与えないことも確認します。

5.シール材を適量・適所へ使う

ペーストシール剤を管内側まで盛ると、内部へ押し出される可能性があります。国土交通省仕様が示すように、おねじ部へ適量を用いるのが基本です。塗布範囲、乾燥や組立て可能時間、併用材の可否は製品説明に従います。

日本ヘルメチックスの転造ねじ用シール剤「ヘルメシールZT」は、使用前に塗布部のほこり、油、水等を除去するよう案内しています。メーカーの使用方法・注意事項で対象用途を確認できます。この製品は転造ねじ用であり、他のシール剤へ同じ条件をそのまま当てはめません。

シールテープを使う場合も、巻く方向、巻数、開始位置を自己流で固定せず、採用製品と現場の施工要領を確認します。めねじ側へ無造作に詰め込まないことが大切です。

6.無理のない姿勢でねじ込む

継手と管の芯が合っていない状態で締め始めると、斜めねじ込みや山の損傷につながります。最初は手でかみ合いを確認し、管と継手が同芯の状態で工具を使います。

工具を掛ける位置が遠すぎると、継手や管へ不要な曲げが加わります。相手側を保持し、隣の接合部へ締付け力を伝えないようにします。締付け量や工具は管・継手メーカーと工事の要領に従い、延長管を使った過大な締付けを避けます。

7.接合後に配管を無理に合わせない

ねじ接合を終えた後、支持位置へ無理に引き寄せると接合部へ曲げ荷重が残ります。支持金物を先に本締めせず、配管ルートと高さを仮合わせした状態で接続します。

弁、機器、フレキシブル継手など重量や動きがある部分は、接合部だけで支えません。図面と支持要領に従い、直近の支持や独立した機器支持を確認します。

8.見えるねじ部と防食を確認する

接合後は、ねじ込み状態、継手の向き、シール材のはみ出し、管内への押出しがないかを確認します。露出した鋼のねじ部は、防食処理の指定を設計図書で確認します。

国土交通省仕様では、継手接続後のねじ部の鉄面へさび止め塗装を行う内容が示されています。これは官庁営繕工事の標準内容であり、実際の現場では特記、管種、使用環境、採用塗料の条件を優先します。

9.試験は接合部が見える状態で行う

水圧試験や気密確認を行う前に、試験範囲、試験媒体、圧力、保持方法、計器、立会い、排出手順を確認します。数値は工事の設計図書、管・継手・機器の許容条件、承認された試験要領に従います。

接合部を保温や仕上げで隠す前に、全周を目視・触診できる状態で確認します。圧力低下があれば、試験装置、温度変化、空気抜き、閉止部、接合部を順に切り分け、漏れ箇所を決めつけません。

漏れが見つかったときの切り分け

  1. 作業を止め、系統を安全な状態にする。
  2. 漏れ位置と試験条件を記録する。
  3. 継手本体、管、ねじ部のどこから出ているか確認する。
  4. 支持や外力で接合部が引かれていないか確認する。
  5. 分解後、おねじ・めねじの損傷、異物、シール状態を見る。
  6. 不良部材を交換し、同じ条件の他接合部も確認する。
  7. 承認された手順で再試験する。

漏れ箇所の表面へシール材を塗り重ねる応急処置で完了にせず、ねじ加工と内部の状態まで確認します。

ねじ配管の漏れ防止チェックリスト

  • 流体・温度・圧力・管種に合う継手とシール材か。
  • 管端が直角で、必要な端部処理が済んでいるか。
  • ねじ山に欠け、むしれ、偏りがないか。
  • 切削油、水分、切りくず、ほこりを除去したか。
  • シール材をメーカー指定の範囲と量で使ったか。
  • 斜めねじ込みや過大な締付けがないか。
  • 接合後に支持で無理に引いていないか。
  • 露出ねじ部の防食指定を確認したか。
  • 接合部が見える状態で試験したか。

ねじ配管の漏れ防止は、加工、清掃、材料選定、組立て、支持、試験を一つの工程として管理することです。漏れた後に締め足すのではなく、締める前の状態をそろえ、各接合部を同じ手順で確認してください。

参考資料

関連記事

  1. 雄誠設備工業のポリエチレン・EF解説用アイキャッチ:EF融着の前処理で確認すること|スクレープ…
  2. 雄誠設備工業の塩ビ管・VP/VU/DV解説用アイキャッチ:DV継手とTS継手の違いを排水・給水の用途か…
  3. 雄誠設備工業の塩ビ管・VP/VU/DV解説用アイキャッチ:塩ビ配管の接着で失敗しやすいポイントと確…
  4. 雄誠設備工業のねじ配管・金属管解説用アイキャッチ:フランジ接続で偏りや漏れを防ぐ締め方の基本
  5. 雄誠設備工業の塩ビ管・VP/VU/DV解説用アイキャッチ:VP・VUは何が違う?設備配管で迷わない使い分け
PAGE TOP