フランジの締め方で大切なのは、ボルトを強く締めることではなく、ガスケットへ必要な締付け力を均等に与えることです。フランジ面の汚れ、芯ずれ、ガスケットの偏心、片締めがあるまま本締めすると、規定のトルクを掛けても漏れにつながります。
基本手順は、使用条件の確認、面の清掃、芯合わせ、ガスケット装着、手締め、対角の段階締め、周回確認、試験です。具体的なトルクと再締付け条件は、フランジ・ガスケット・ボルトの組合せごとに設計図書とメーカー資料で決めます。
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締める前に芯を合わせる。
ボルトで配管のずれを無理に引き寄せず、ガスケットを正しい位置へ置いてから、対角に少しずつ締めます。
フランジ接続は何で漏れを止めるのか
フランジ接続では、二つのフランジ面の間へガスケットを挟み、ボルト・ナットの締付けでガスケットへ面圧を与えて流体をシールします。必要な面圧が不足すれば漏れやすく、過大ならガスケット、ボルト、フランジを傷める可能性があります。
ニチアスの技術解説は、フランジ締結体でガスケットの性能を発揮させるには、必要な締付け力をすべてのボルトへ均等に与える必要があると説明しています。ガスケットの締付管理に関する技術解説で均等締付けの考え方を確認できます。
1.使用条件と組合せを確認する
施工前に、流体、圧力、温度、フランジ形式、呼び径、ガスケット種類、ボルト材質・径・長さ・本数、潤滑条件を確認します。トルク表は、これらの前提が異なる製品へ流用できません。
国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、フランジ接合に適正な材質と厚さのガスケットを用い、ボルトとナットを均等に片寄りなく締め付けることを示しています。令和7年版・公共建築工事標準仕様書を工事固有の特記と合わせて確認してください。
2.フランジ面とボルトを点検する
フランジ面の汚れ、さび、傷、塗料の盛上がり、古いガスケットの残りを確認します。シール面を傷つけない方法で清掃し、座面の欠損や変形があれば使用可否を施工管理者へ確認します。
ボルトとナットは、ねじ山の損傷、さび、曲がり、長さ不足がないかを見ます。クボタケミックスも、フランジ、ナット、座金、パッキン等の厚さを確認し、必要に応じて適切な長さのボルトを使うよう案内しています。フランジ接続用ボルト長さの公式FAQを確認できます。
3.配管の芯とフランジ面を合わせる
ボルト穴へ無理にボルトを入れ、締付け力で配管を引き寄せてはいけません。配管支持を調整し、フランジ同士が自然に向き合い、面間がほぼ平行になる状態を作ります。
芯がずれたまま締めると、ガスケットの一部だけが先に圧縮され、ボルトへ曲げが加わります。接続後も配管の反力が残り、運転時の振動や温度変化で漏れやすくなります。機器ノズルへ配管重量を預けない支持も確認します。
4.ガスケットを正しい位置へ装着する
ガスケットは、フランジ形式と使用条件に適合するものを選び、シール面の中央へ偏心しないように置きます。内径側へはみ出す、外周側へ寄る、折れる、二枚重ねになる状態を避けます。
ニチアスのガスケットカタログも、ガスケットをガスケット座へ正しく装着し、片締めが生じないようにすることを案内しています。ニチアスのガスケット製品カタログに締付け方法の解説があります。
ガスケットへのペーストや潤滑剤の塗布は、自己判断で行いません。製品種類によって使用可否が異なるため、メーカーの取扱説明と工事の施工要領を確認します。
5.すべてのボルトを手締めする
ボルトを通したら、まずナットを手で回して均等に当てます。この段階でボルトが斜めになる、穴位置が合わない、片側だけ面が近い場合は、本締めせず芯合わせへ戻ります。
ワッシャーの向き、ナットのねじ掛かり、ボルトの突出状態も全周で確認します。一本だけ長さや材質が違う場合は交換します。
6.対角に段階を分けて仮締めする
最初から一つのボルトを目標値まで締めると、その周囲だけガスケットが圧縮されます。対角位置のボルトを順に選び、締付け力を段階的に上げながら全体を均等に近づけます。
ニチアスの技術資料は、対角順で段階的に締め付け、各段階でフランジ面間距離が均等かを確認する方法を説明しています。段階の割合や対象ボルトは、ボルト本数と採用する手順で変わるため、現場の承認済み要領に従います。
7.本締め後に周回して均一性を確認する
複数のボルトを締めると、後から締めた影響で先に締めたボルトの軸力が変わることがあります。対角の仮締め後、承認された手順で周方向に締付けを確認します。
トルクレンチを使う場合は、校正状態、設定値、ソケット、操作方向を確認します。勢いをつけず、軸に対してまっすぐ力を掛けます。締付け値だけでなく、フランジ面間のすき間が全周で偏っていないかを合わせて見ます。
8.増し締めの要否を製品条件で確認する
ガスケットは時間や温度によってなじみが生じる場合がありますが、すべての接続で増し締めすればよいわけではありません。増し締めの可否、時期、温度条件、運転停止の要否は、ガスケットと機器のメーカー資料、工事要領に従います。
加圧中や高温状態のフランジへ不用意に工具を掛けるのは危険です。作業が必要な場合は、系統を安全な状態にし、現場で承認された手順と責任者の指示に従います。
9.試験前後に全周を確認する
試験前は、ボルト忘れ、ガスケットずれ、工具の置き忘れ、支持不足、ドレンやベントの閉止状態を確認します。試験条件は、設計図書、材料・機器の許容条件、承認済み試験要領に従います。
漏れが見つかった場合は、圧力を安全に下げてから、漏れ位置、面間の偏り、ボルト状態、配管外力を確認します。漏れている側のボルトだけを締め足すと偏りが増えるため、原因を特定し、必要なら接合をやり直して再試験します。
片締めを見つけるチェック
- フランジ面間のすき間が全周で均等か。
- ガスケット外周が一方へ寄っていないか。
- ボルトの突出量とナットの掛かりがそろっているか。
- トルク確認で一部だけ極端に回る、または止まる状態がないか。
- 接続後に配管支持がフランジを引いていないか。
- 機器ノズルへ配管重量や曲げが残っていないか。
よくある失敗
ボルトで芯ずれを直す
配管のずれを締付けで矯正すると、ガスケットの偏りと残留荷重を招きます。支持を緩めて芯を合わせ、必要なら配管寸法を修正します。
一気に本締めする
一箇所だけ先に締めると片締めになります。手締め、対角の段階締め、周回確認という順を守ります。
別製品のトルク値を流用する
同じ呼び径でも、フランジ形式、ガスケット、ボルト、潤滑条件が違えば適正値は変わります。現物の品番と資料を照合します。
試験後すぐ隠す
試験後に漏れがなくても、圧力を抜いた後のボルト状態と周囲の水分を確認します。必要な記録を残し、承認を得てから保温や仕上げへ進みます。
フランジの締め方チェックリスト
- 使用条件に合うフランジ、ガスケット、ボルトを確認する。
- シール面とねじ部を点検・清掃する。
- 配管支持を調整し、芯と面の平行を合わせる。
- ガスケットを偏心なく装着する。
- 全ボルトを手締めし、異常がないか見る。
- 承認手順に従い、対角に段階締めする。
- 周回して締付けと面間の均一性を確認する。
- 増し締め条件と試験条件を確認する。
- 試験前後に全周を目視し、結果を記録する。
フランジの漏れ防止は、トルク値だけでは決まりません。清浄な面、正しいガスケット、配管の芯、均等な締付け、外力のない支持をそろえることが基本です。数値は必ず採用品と承認済み要領で確認してください。
参考資料
- [SRC1] 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)」 (官公庁・確認日 2026-08-14)
- [SRC2] ニチアス株式会社「ガスケットの締付管理について」 (メーカー一次情報・確認日 2026-08-14)
- [SRC3] ニチアス株式会社「ガスケット製品カタログ」 (メーカー一次情報・確認日 2026-08-14)
- [SRC4] 株式会社クボタケミックス「フランジ接続用ボルトの長さの目安」 (メーカー一次情報・確認日 2026-08-14)









