マンションの配管用語は、文字だけを見ても意味を確定できないことがあります。管の流体、向き、役割、材料、図面記号が一つの呼び方へ重なり、現場ごとの短い言い方も加わるからです。
このFAQでは、一般的な意味を答えたうえで、どの資料を見ればその現場の意味に確定できるかまで整理します。用語集として暗記するより、図面と現物を照合する入口として使ってください。
Q. 配管の名前は何から読めばよいですか?
まず「系統」「向き」「役割」「管種」に分けます。たとえば排水横枝管は、排水という系統、横方向の区間、枝側という役割を重ねた名前です。VP排水立て管なら、管種、系統、向きの情報が並んでいます。
一語として覚えるのではなく、各要素を図面上の接続へ戻します。器具から枝管、枝管から立て管、立て管から横主管へ追うと、その名称がどの区間を指すか理解しやすくなります。
Q. PSは配管の種類ですか?
PSは、一般に配管などを納める縦方向の区画を指す表示として使われます。管の材料名や系統名ではありません。したがって「PSの管」だけでは、給水、排水、通気などのどれかを特定できません。
国土交通省が公開する施設図面には「PS」と「管理用パイプシャフト」の表記があり、PSが空間名称として使われる例を確認できます。ただし、PSに何を納めるか、どこまでをPSと呼ぶかは対象図面で確認します。
Q. 「立管」「立て管」「縦管」は同じ意味ですか?
上下方向へ延びる管を指して、これらの言葉が近い意味で使われることはあります。ただし、文字が似ているだけで同じ管とは決められません。
排水立て管、通気立て管、給水立て管は同じPS内に並ぶことがあります。図面の系統記号、各階の分岐、最上部と最下部の接続先まで見て、対象を確定します。記録には「五階PSの排水立て管」のように系統と場所を足します。
Q. 主管と枝管は太さで決まりますか?
太いほうが主管とは限りません。主管と枝管は、どの範囲の系統を見ているか、その中で流れをまとめる側か、分かれる側かという接続関係で読みます。
建物全体では主管に見える管でも、さらに上流の系統から見れば枝側となることがあります。「主管」という言葉だけで位置を決めず、始点、終点、分岐先を共有します。
Q. VPと書いてあれば給水管ですか?
VPという文字だけで給水系統とは確定できません。管種を示す表示と、給水・排水などの系統表示は別の情報だからです。
国土交通省の公共建築設備工事標準図は、塩ビ管の管種記号を「VP」と示しています。同じ資料でも給水管や排水管などの系統は別に表示されています。実際の案件では、その図面の凡例と特記で、系統と管種の両方を確認します。
Q. VUは管で、DVは継手ですか?
塩化ビニル管・継手協会の一覧では、JIS K 6741の硬質ポリ塩化ビニル管にVU管が掲載され、JIS K 6739の排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手の備考にDV継手が掲載されています。
この整理ではVUは管の区分、DVは継手の区分です。ただし、呼び名が分かっただけで、目の前の製品が設計どおりとは確定しません。管・継手の品名、呼び径、適用する組合せ、承認資料をそろえて確認します。
Q. 呼び径の数字は外径や内径ですか?
呼び径の数字を、そのまま外径または内径の実測値とはみなしません。呼び径は製品サイズを呼び分ける入口で、寸法は管種ごとの表で確認します。
クボタケミックスの一般ビニルパイプ寸法表は、VPとVUについて、呼び径とは別に外径、厚さ、近似内径を掲載しています。同表では近似内径が参考欄であるため、必要な実寸項目とその位置付けを読んで使います。
Q. 図面略号はどの現場でも共通ですか?
共通する表現はありますが、見慣れた略号を別の現場へそのまま当てはめないでください。
国土交通省の公共建築設備工事標準図は、図示記号を標準的な記号とし、記載がない記号が示す内容は特記によるとしています。このため、同資料を参照する場合も、個別図面の凡例と特記を確認する必要があります。
図面略号の意味は、対象案件の凡例、特記、系統図で確定します。色だけ、線種だけ、アルファベットだけで決めず、接続先まで追います。
Q. COなど見慣れた記号は、そのまま読んでよいですか?
国土交通省の同標準図には、床下掃除口を「CO」、アスファルト防水層用の床上掃除口を「COB」とする表示例があります。似た文字でも部位が分かれているため、文字の一部だけを見て同じ器具と判断しません。
これは同標準図での表示例です。民間マンションの図面では、凡例、器具表、詳細図を見て対象を確定します。記号が凡例にない場合は、推測で材料を選ばず照会します。
Q. 平面図と系統図で呼び方が違うときは?
最初に、図面名、図番、改訂記号がそろっているかを確認します。片方が古い版なら、名称だけでなくルートや口径も変わっている可能性があります。
次に、平面図の線を系統図の始点・終点へ結び、同じ管を指しているか見ます。同じ対象で表記が食い違う、別図参照の行き先がない、凡例で説明できない場合は、不一致箇所を図上で示して確認を求めます。
国土交通省の令和7年版標準仕様書は、「施工図等」を工事施工のための詳細図等と定義しています。公共建築工事の定義ですが、設計図の意図を実際の位置・接続へ展開する資料として施工図を確認する考え方の参考になります。
Q. 口頭の呼び名で材料を頼んでもよいですか?
「太い塩ビ」「いつもの継手」のような呼び方だけでは、別の製品を除外できません。注文や仕分けでは、承認された品名、管種、呼び径、継手区分、数量、使用区間をそろえます。
現場の短い呼び方を使う場合も、採用した製品名と図面上の区間へ戻れる対応を残します。短い呼び方そのものを禁止するのではなく、誰が見ても一つの対象へ戻れることを優先します。
Q. 写真や確認票にはどの名前を書きますか?
系統、場所、部位を組み合わせます。たとえば階、住戸、PS、通り芯などの位置に、排水立て管、給水枝管などの部位を足します。現場内に管理IDがあれば同じIDを使います。
国土交通省の令和7年版標準仕様書は、工事関係図書に施工図、工事写真、施工・試験等の報告及び記録に関する図書を含めています。公共建築工事の用語ですが、図面と記録で同じ施工対象を追えるようにする考え方の参考になります。
Q. 用語の意味を確定できないときは、何を伝えて質問しますか?
「この記号は何ですか」だけでなく、次を添えます。
- 図面名、図番、改訂記号
- 階、住戸、通り芯、PSなどの位置
- 図面に書かれた記号と線種
- 始点、終点、分岐先
- 別の図面や現物表示との食い違い
- 確認できないまま進めると影響する作業
略号が凡例にない、同じ記号が複数の意味に読める、図面間で接続先が違う場合は、自己判断で名称を確定しません。不明な区間を切り分け、回答と採用資料を関係者で共有します。
まとめ
マンション配管の用語は、一語だけで完結しないことが多くあります。PSは空間、立て管は向き、主管・枝管は接続関係、VP・VU・DVは管材や部材の区分、呼び径はサイズの呼び名というように、情報の層を分けて考えます。
一般的な意味を知った後は、その案件の凡例、特記、系統図、施工図、承認資料、現物表示へ戻って確定します。用語を知っているつもりで進めるより、意味が未確定の状態を見つけ、接続先まで確認できることが取り違え防止につながります。
参考資料
- [S1] 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版」 (官公庁・確認日 2026-08-25)
- [S2] 塩化ビニル管・継手協会「JIS・JWWA・JIWA・JSWAS規格」 (公式団体・確認日 2026-08-25)
- [S3] 株式会社クボタケミックス「タフカラーおよび一般ビニルパイプ・継手 カタログ」 (メーカー一次情報・確認日 2026-08-25)
- [S4] 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)」 (官公庁・確認日 2026-08-25)
- [S5] 国土交通省「ミレセン1F PLAN・施設図面」 (官公庁・確認日 2026-08-25)










