気密試験と水圧試験の違いは、主に確認する目的と加圧に使う媒体です。水圧試験は配管内へ水を満たして圧力をかけ、耐圧性や漏れを確認します。気密試験は空気や不活性ガスなど、承認された気体を用いて接合部からの漏れがないかを確認します。
ただし、現場で自由に選べる二択ではありません。対象系統、設計図書、法令・規格、管・継手・機器の許容条件で試験方法、媒体、圧力、保持、判定が決まります。この記事では違いと確認順序を整理します。
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水圧試験。
水で加圧し、耐圧性と漏れを確認。
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気密試験。
承認された気体で加圧し、漏れを確認。
気密試験と水圧試験の比較
| 比較項目 | 水圧試験 | 気密試験 |
|---|---|---|
| 主な媒体 | 水 | 空気・不活性ガス等の指定気体 |
| 主な確認 | 耐圧性、漏れ | 気体の漏れ、接合部の気密 |
| 準備の特徴 | 充水、空気抜き、排水 | 昇圧管理、立入管理、放圧 |
| 注意点 | 残留空気、凍結、水損、機器耐圧 | 圧縮気体のエネルギー、飛散、使用ガス |
どちらも圧力計が下がらなければ終わり、という検査ではありません。温度、計器、閉止部、試験装置、空気抜き、接合部の状態を含めて判定します。
水圧試験とは
水圧試験は、試験範囲へ水を満たし、ポンプ等で所定の圧力まで上げて、配管・継手・弁・機器に異常や漏れがないかを確認する方法です。給水、給湯、冷温水など水を扱う系統で用いられます。
国土交通省の令和7年版・公共建築工事標準仕様書では、冷温水等の水配管を水圧試験とし、給水・給湯配管にも水圧試験の条件を示しています。具体的な試験圧力と保持は系統条件で分かれます。公共建築工事標準仕様書の試験項目を工事固有の設計図書と合わせて確認してください。
水圧試験で準備すること
- 試験範囲と除外する機器・器具を明確にする。
- 系統の最高部に空気抜き、最低部に排水経路を確保する。
- 閉止板、キャップ、バルブ、ホース、ポンプの耐圧を確認する。
- 水漏れ時に仕上げや電気設備へ被害が広がらない養生をする。
- 試験後の排水、乾燥、防錆、凍結対策を決める。
水が入っても、管内の高い位置へ空気が残ると圧力が安定しません。ゆっくり充水し、系統の空気を抜いた後で加圧します。
気密試験とは
気密試験は、承認された気体を使って系統を加圧し、接合部や機器から気体が漏れないかを確認する方法です。冷媒配管、油配管、ガス系統などで、関係する設計仕様や規定に応じて実施されます。
国土交通省仕様では、冷媒管は冷媒漏えいガイドラインに基づく気密試験を行い、その後に全系統の高真空蒸発脱水処理を行うとしています。また油管は空気圧試験としています。このように、系統によって試験方法が明確に分けられています。
気密試験で準備すること
- 使用する気体が設計・施工要領で認められているか確認する。
- 調整器、ホース、計器、閉止具が試験条件へ適合するか確認する。
- 加圧箇所、放圧箇所、監視員、連絡方法を決める。
- 閉止板やキャップの正面、継手の延長線上を立入範囲から外す。
- 段階的な昇圧と各段階の確認を試験要領に定める。
- 試験後に安全な場所へ放圧する経路を確保する。
圧縮された気体を使う試験は、部材が外れたときに飛散や噴出を伴う危険があります。厚生労働省の気圧試験に関する通知も、閉止板やフランジボルトへ十分な強度を求め、気圧試験の危険防止措置に留意するよう示しています。厚生労働省の気圧試験に関する通知を参照できます。
一番大きな違いは安全管理
水圧試験も高圧の作業であり、閉止部の外れや水の噴出へ備える必要があります。一方、気密試験は圧縮性のある気体を用いるため、同じ表示圧力でも事故時の影響を小さく見積もらないことが重要です。
経済産業省の高圧ガス事故情報には、配管施工後の窒素による気密試験中に継手が外れ、ガス噴出と配管破損が起きた事例が掲載されています。高圧ガス事故の公表事例は、試験前の閉止・接合・立入管理の重要性を示します。
気密試験を『水を入れなくてよい簡単な方法』と考えて置き換えてはいけません。試験方法の変更は、設計者、監督者、機器メーカー等の承認を得て行います。
試験方法を決める確認順序
- 系統名と流体を確認する。 給水、給湯、冷温水、冷媒、油、ガス等を区別する。
- 適用図書を確認する。 特記仕様、標準仕様、法令・規格、メーカー資料をそろえる。
- 試験範囲を決める。 管、継手、弁、機器、計器、除外部を図面へ示す。
- 最も弱い機器を確認する。 試験圧力が許容条件を超えないか確認する。
- 媒体と試験条件を確定する。 圧力、保持、温度、判定、計器を承認する。
- 安全計画を作る。 立入範囲、加圧、監視、連絡、緊急放圧を決める。
- 記録方法を決める。 開始・終了時刻、圧力、温度、是正、再試験を残す。
判定で見るもの
圧力計の変化
開始と終了の指示値を比べます。ただし、温度変化、計器誤差、ホースや試験装置の漏れも影響するため、配管漏れと直結させません。
接合部の目視・確認
水圧試験ではにじみや水滴、気密試験では承認された検知方法による気泡等を確認します。保温や塗装で隠す前に、接合部全周が見える状態で行います。
変形・異音・支持
管、継手、閉止部、支持に異常な変形や動きがないかを見ます。異音や急な圧力変化があれば、無理に近づかず試験要領に従って停止・放圧します。
よくある誤解
空気で漏れなければ水圧試験は不要
試験の目的と適用条件が違うため、代替できるとは限りません。設計図書が水圧試験を求める系統は、承認なく気密試験へ置き換えません。
圧力が下がれば必ず配管漏れ
温度変化、空気抜き不足、計器、試験ホース、閉止部も確認します。漏れ箇所を決めつけず、試験系全体を切り分けます。
高い圧力ほど確実
試験圧力を自己判断で上げるのは危険です。材料・機器の耐圧を超える可能性があり、事故時の影響も大きくなります。承認値を守ります。
試験前チェックリスト
- 試験方法、媒体、圧力、保持、判定が承認されているか。
- 試験範囲と除外機器を図面で確認したか。
- 閉止具、計器、ホース、ポンプ、調整器が適合するか。
- 接合部を保温・塗装前に見られるか。
- 支持と閉止部に加圧時の力を受けられる状態があるか。
- 立入管理と監視員、連絡方法を決めたか。
- 加圧・充水・空気抜き・放圧・排水の順序を共有したか。
- 異常時の停止と安全な退避方法を決めたか。
気密試験と水圧試験の違いを理解する
水圧試験は水を用いて耐圧性と漏れを確認し、気密試験は承認された気体を用いて気体の漏れを確認します。対象系統と目的が違うため、現場の都合だけで置き換えません。
試験値を暗記するより、系統、適用図書、最弱部、媒体、安全計画、判定、記録の順に確認することが重要です。加圧試験は施工品質の確認であると同時に危険を伴う作業です。必ず承認済み手順と責任者の指示に従ってください。
参考資料
- [SRC1] 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)」 (官公庁・確認日 2026-08-14)
- [SRC2] 厚生労働省「気圧試験に関する通知」 (官公庁・確認日 2026-08-14)
- [SRC3] 経済産業省 北海道産業保安監督部「北海道管内における高圧ガス事故の発生状況(令和5年)」 (官公庁・確認日 2026-08-14)










